とっても深い話をうかがいました。
自由創作のアトリエ、おしゃべりアート鑑賞会をされているAtelier Irotabi Kidsのゆうき先生。
おしゃべり鑑賞会についてはこちらでちょこっと触れてます。
戦争・こども・絵
あるお母様から相談があったそうです。
こどもが気になる絵を描いたと。
いつもはすすんで描いた絵を見せてくれるのだけど、ノートに描いたその絵は、積極的には見せなかったそうです。
それをたまたま見つけてしまったお母さん。
ロシア国旗の色・荒々しいタッチ・強い筆圧
中央を真っ黒く塗りつぶして分断する筆の跡
周囲を埋めつくす乱雑な言葉たち。
ロシアを激しく非難する言葉も・・・
心の奥底
お子さんの心の状態を心配したお母様がゆうき先生にその絵を見せてくれたそうです。
普段の家庭での会話、学校で聞く話、メディアから流れてくる映像・・・
ゆうき先生はお母さんから状況を聞き、その絵を見て次のように感じたそうです。
こんな気持ち(絵)を持っていいのか、他の人に言ってもいいのか心配する子どもの気持ちの揺れ動きを感じました。
喜怒哀楽・感情に本来善悪はないと思いますが、いけないんものなんじゃないかと心配している。この心の動きをキャッチすることが(この後の話に繋がるんですが)子どもの気持ちを受け止めることにも繋がってくる。
どうしたらいい? 誰もわからない・・・
そもそも私たちはこの事態を人間としてどのように受け止め、行動したらよいのか、誰もわかりません。
こどもにどう接してよいのかもわかりません。
オトナもショックを受けていますが、感受性の豊かで繊細なこどもが受けているショックの大きさは想像をはるかに超えているのかもしれません。
それを絵として表現した行動には何か大事な意味があるように思えてなりません。
アートセラピーではショックや言葉にならない気持ちを吐き出せたことをポジティブに受け止めるんですが、このときも絵を心の言葉/叫びととらえると、少なくとも心に溜まったままじゃなくてよかったという話になりました。
子どもが転んで痛いと言うと、痛かったねと体の痛みに寄り添うことが多いと思うんですが、心の傷(絵)となるとどうでしょうか。
すんなり受け止められないこともあるんじゃないでしょうか。
大人自身も絵を見て驚くし、困惑するからだと思います。
でもまずは、転んだ時のように痛かったねと心の痛みをそのまま受け止めることからスタートしてみたらどうだろうと思うんです。
言葉では表現できない心の中のいろんなことが絵になって表現されているんですね。
それをそのまま受け止める、こどもをまるごと受け入れる。その安心感をしっかりつくってあげるんですね。
こどもだけじゃない。大人も・・・自分自身の気持ちを受け止める
お話を聞いてあたたかく、優しい目線、包容力にぐっときました。
この場合、ものすごくセンシティブなケースなので、身近な大人がその子をどのように受け止めてあげられるか、大人の感性がとても大切だなと思ったのが、次のゆうき先生の言葉。
ロシア国旗の一部を黒く塗り潰しているので、一見「憎悪」を感じますが、激しいタッチと強い筆圧で描かれた対比配色の絵には「不かのう」「かつかくりつ90」など、普段この子が口にしない外から借りてきたような言葉も並んでいます。
お母さんと絵を見て語り合いながら、根底にある子ども自身が感じた「恐怖」と「この事態(戦争)をなんとか理解したい」という気持ちが浮かび上がってきました。ちょっと追加すると、私たち大人も戦争をどう捉えていいか戸惑っていることにも目が向き、子どもだけじゃなく、自分自身の気持ちを受け止めることも、こういう事態をどう捉えるのか考える上で大切なんじゃないかという話になりました。
描かれた絵からさらに一歩踏み込んで想像してみる、対話してみることでより深く内面を想像することができるんですね。それが自分自身を見つめる鏡の役割をすることも。自分ごとだとよりリアルに感じることができますよね。私たちの感性もこうやって磨かれていくのかもしれないですね。
ただ、ゆうき先生のお話は、ここからさらに先に向かっていました。
まず受け止めて、自分自身のことも受け止めて。
でも、その次に、どうしたらいいのでしょう?
つづく
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投稿者プロフィール
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Bingo! Soroban School 責任者
そろばん教室でこどもたちと接するのが楽しくてたまりません。
自信を持って新しいことにどんどんチャレンジする子が一人でも多くなってほしいと願っています。
中学受験専門塾、中学高校受験塾の講師として15年あまりこどもたちに接したのち、紆余曲折を経て2013年ASOBO!、2016年そろばん教室を立ち上げる。2019年いしど式に加盟、全国珠算連盟認定教師。
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