この時期、本帰国でお別れが多い季節。どの子もとても印象深いので寂しいのですが、その中でも私たち自身とても学びの多かったある子のエピソードを本人、保護者の方の了承を得てご紹介します。

小学校に入れるかな・・・

2年前、年長さんになったAくんを連れてお母さまがそろばん教室への入会を希望されました。お兄ちゃんもそろばんを習っていて、お母さまにはある信念があったようです。

Bingo!では、幼児は本当に個性、発達段階のちがいが大きくて、小さくても「始めても大丈夫です」と受け入れる場合、年長でも「まだ早いから何か月か後にまた来てください」とお待ちいただく場合とまちまちです。

Aくんのときは親子で体験をしてもらい、まだ早いので・・・とお伝えしましたが、お母さまとお話して受け入れることにしました。
Aくんは幼稚園での集団生活に少しずつ慣れながらも、小学校には「入学できないorヘルパー付きであればokと言われるかも…」と言われつづけていたそうです。お母さまも大変心配されていたことと思います。

きっと、大丈夫。

ただ、お母さまには1つ確信に近いものがあったように感じます。

「この子は、きっと大丈夫。」

心配するだけではないし、何とかしてほしいと他人任せにするでもない、

「必ず大丈夫なようにする」という強い思いを感じました。
おそらくですが、

小学校に上がる前にこの子に強み、何か自信が持てる確かなものを1つ持ってもらいたい。
それが持てればきっと大丈夫。
それには算盤(そろばん)が絶対いい。

そう思われていたのではないかと思います。
私はお母さまの強い思いに動かされました。

加配なし、特別扱いなしで始まったそろばんレッスン

そうして始まったレッスン、あえて特別枠をつくらず、他の子と同じ空間で同じように参加してもらいます。
こども同士で刺激を受け、学びあうことって本当に大きいからです。

最初のうちは座って字を書くことも難しく、鉛筆を持って線を書く練習として迷路から始めました。お母さまにも横についていただいて、少しずつ、少しずつ・・・

こどもを伸ばす母の存在

そろばんを扱えるようになって、しばらく経ったある日、
Aくんがお母さまなしで1人で取り組んでみることになったときのこと。

その頃にはそろばんが好きになり始めていたのか、自分で取り組めるようになっていました。それでも、1人で大丈夫かな・・・大人側には不安があります。
ところがなんの問題もなく50分の間、ひとりで座って取り組み、お迎えに来たお母さまがその様子を目にして、思わず涙されていました。

私には想像できないほど、抱えていた色々な思いが堰を切ったようにあふれ出したのでしょうね。
その姿に、母親って、本当にすごい、偉大だなと心を打たれました。

Aくんのお母さまも、必死に教え込んだりとか、できないのを叱ったりという姿を見たことがありません。
側にいて辛抱強く見守る、支えてあげる、こどもの可能性を心から信じて、その芽が伸びて行けるようにサポートに徹されている、そうした印象です。
しかし、おうちでは必要なこと、やるべきことをしっかり、でも押し付けでなくその子に合った形でやらせてあげてるのだと思います。

Aくんの行動を見ていると、ご家庭でそうした安心と甘えの区別、バランス感覚というか距離感みたいなものを普段からきっとすごく工夫されている(か自然にできる)のだろうなと感銘を受けます。

他の子のお手本にも!

やがて、集中して取り組むAくんの姿は、周りの子にとてもよい影響をもたらし始めました。
何しろ、教室に入ったら自分からテキストとそろばんを用意して取り組み始めます。すごい!
フラッシュ暗算で、まだ幼い、言葉もつたないAくんがみごとに正解する姿に周りの子が目を丸くするような光景も出てくるようになりました。
集中が続かない子もいる中、ずっと集中して取り組み続けるAくんの存在自体が、他の子にすごくよい刺激になっているのです。

無事、小学校にも入学、そろばんも地道にテキストを進めていき、1年生が終わろうとしている今となっては、かけ算九九はもちろん、2桁や3桁×1桁のかけ算、2桁の加減算も問題なくできるようになりました。先日初めて、252÷4のようなわり算を教えたところ、すぐに要領を得てできるようになったのにはびっくり。理解力がすごい!8級合格ももう時間の問題です。

Aくんにそろばんが合っていたのはすごく幸運でした。楽しいと思えていなかったら、家でもやろうと思えなかったら、そして何よりご家庭のサポートがなかったら、なかなかこのようにはいかなかったと思います。

Aくんが伸びたのは、計算だけではありません。むしろ計算はほんのごく一面。計算をきっかけに「できる」という喜びから自信を積み重ね続けてきたからこそ、数値では測れない人間的な成長が何より大きいなと思います。

成長を見守る母の視点

お母さまからは以下のコメントをいただきました。

我が家ではやって良かった習い事No.1が算盤なので、Aにも諦めてほしくないとの思いが強かったです。
先生方にはAに寄り添っていただき、本当に感謝しております。Aのドイツ生活は苦難だったこともあり、算盤での出来事と成長を振り返ると目頭が熱くなります。今では自分で考え行動することが当たり前になっていて、間違いなく失敗は恐れてないですね。もう少し結末を考えて欲しい昨今ですが(笑)

勘違い脳は、自己肯定感を育てたなと確信してます。
大いなる勘違いは未知なる可能性を秘めてる気がするので、これからも実験しながら子育てやってみようと思います。

算盤は続けていくと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。

まだ1年生です。かつては、小学校、大丈夫かな。。。と心配されていた子です。

「自分で考え行動することが当たり前」、すごいですよね!

「間違いなく失敗は恐れてない」、この2つが成長にさらにレバレッジを効かせているように思います!

「勘違い脳」って?

以前お母さまがアンケートで答えてくださっていて、とても印象に残っています。

小さい子は特に、自宅での手解きが必要だと感じています。
今は家でやって、お教室で実践する形になっていて、もっともっとお教室で新しいことを学んできてほしいです。

お教室では、どんどん進級して自分は凄いと思うことが 子供のモチベーションになると思います。
小学二年生に かけ算がでてくるので、親としては一年生終わりには かけ算ができるようにしたい。
だから、それまでは脇目もふらず算盤暗算に取り組んでほしいです。

学校では、計算に絶対的自信がある、すごく速くできる、それが自信につながり算数が得意という勘違い脳が生まれます。
私はこの勘違い脳を大事にしながら育てているので、あと半年でかけ算まで達することを目標にしております。

上二人の子は、算盤のおかげで算数数学が得意になりました。
上の子は中1の時に開成高校の問題を問くレベルです。真ん中の子も同様です。

算盤のことをただの計算でしょ?って言われる方がいます。
ただの計算ですが、幼稚園生から磨き上げた勘違い脳は、ただの計算では語れないと思っております。

このときのアンケートを振り返ると、お母さまの言葉通り、現在1年生の終わりには九九はもちろん、2桁や3桁×1桁のかけ算もできるようになりました。それを可能にしたのは、母の「この子はきっと大丈夫」という子どもへの絶対的な信頼と「勘違い脳」をつくるという揺るぎない信念だったのだと思います。

天才でなくても、才能に恵まれていなくても、「自分はできる」という自信、勘違いはその子の可能性を大きく広げてくれる、ほんとにそうだと思います。

お母さまの言葉、「大いなる勘違いは未知なる可能性を秘めてる」を今後Bingo!では合言葉にしてこどもたちの可能性が広がるお手伝いをしていきたいと思います。

今まで通ってくださって、そしてこのような素敵な置き土産まで!!
本当に、ありがとうございました!
日本でのAくん、お兄ちゃんたちの豊かな成長と、ご家族みなさんの幸せを願ってます!

 

学び、上達することは、自信を深めること

計算スピードというのは、算数において超重要です。
そして、特別な事情がない限り誰でも手に入れられるものです。
その子も、今からでも全然遅くないので、がんばって計算スピードという強力な武器を手に入れてほしいと思います。
そして、「自分はできるんだ」と自信をつけ、深めていってほしいと思います。

何かにチャレンジして自分の成長を実感できることってこどもの人間的な成長に大きく関わります。
それは、スポーツでも芸術でもなんでもいいと思います。
そろばんは、その実感が得られやすい習い事です。

ゲームをクリアするかのようにテキストを進めるごとに味わえる達成感。
細かく級設定がされており、繰り返し味わう達成感によって深めまる自信。
指先を細かく素早く使う作業は脳と身体を刺激、活性化して能力開発になります。
スリリングなスピードゲーム的な要素は楽しさで夢中にさせてくれます。

習い事としてのそろばんについて知りたい方は、こちらの本がぜひおすすめです!


https://www.amazon.co.jp/dp/4344947096

◆書籍の概要紹介━━━━━━━━━━━━

そろばんは、計算力だけじゃない!
子どもの能力開発や
心の成長にもつながる学習法

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
そろばんを用いて、子どもの潜在能力を最大限に引き上げる方法について、
脳科学者の解説も取り入れて詳しく解説します。
いしど式そろばん50年の経験と教育現場の実例も多数掲載されています。

【目次】
第1章 子どもの能力を引き出すには、どんな習い事を選ぶのが正解?
第2章 脳科学者も注目しているそろばんと脳の関係
第3章 集中力、記憶力、創造力、判断力、忍耐力
子どもの能力を最大限に引き出す“いしど式そろばん”
第4章 しつけや心の教育にも役立つ “いしど式そろばん”がもつさまざまな効果
第5章 受験に合格、仕事で成功、海外で活躍!
“いしど式そろばん”で能力を引き出せば輝かしい将来が待っている

投稿者プロフィール

のぶ先生
のぶ先生
Bingo! Soroban School 責任者
そろばん教室でこどもたちと接するのが楽しくてたまりません。
自信を持って新しいことにどんどんチャレンジする子が一人でも多くなってほしいと願っています。
中学受験専門塾、中学高校受験塾の講師として15年あまりこどもたちに接したのち、紆余曲折を経て2013年ASOBO!、2016年そろばん教室を立ち上げる。2019年いしど式に加盟、全国珠算連盟認定教師。