チャレンジ(失敗)する権利を奪わないで・・・
最近は失敗を極度に怖れる子、勝ち負けがつく遊びをしたがらない子が激増している印象を持ちます。
失敗するから成長できるのに失敗する機会、チャレンジする機会を大人が善意(またはめんどくささ)から奪ってるんじゃないかな、と。
昨日電車に乗る時にドイツ人の母娘がいて、娘さん(12歳くらい?)が折りたたみ傘をたたみたくて私がやると言うのをはいはいといなしてサッサと自分でやってしまう母親がいました。
電車待ってて時間もたっぷり余裕あるのに。
めんどくさいんでしょうけどもったいないな・・・と思いました。
ありがとう、じゃあ、お願い、と言って渡せばいいだけなのに。
チャンスを奪われた子はどう感じているのだろう?
実はこういう些細なことでも子どもにとっては大きくて、そこでの機会損失…
- 傘を折りたためた
- 仕組みをおもしろがれた
- 母親に感謝された
- ちょっと嬉しくて誇らしい気持ちになった…
というポジティブな経験、感情を得られないだけでなく、下手すると
- 「信頼されてない」
- 「できないと思われてる」
とネガティブな感情を生じさせることも往々にしてあり得るだろうなとは、そのときのこどもの失意の表情からも推察できます。
そんなちっぽけなことくらい「やってみなはれ」の精神でもっと子ども自身が自力で体験する機会をつくってほしいなと思いました。
前もって言い訳する子たち
逆にこどもが発する
- 「やったことないからできない」
- 「教わってないからできない」
はすべてチャレンジを避けるための言い訳です。
だって、考えてみてください。こんな赤ちゃん、いるでしょうか?
「喋ったことないからしゃべれない」と言って決して何か言おうとしない赤ちゃん
「教わってないから歩かない」と言って頑なに二本足で立つことにチャレンジしない赤ちゃん
いないですよね? 赤ちゃんはそもそもチャレンジだなんて思いもしないだろうし。
ただやってみたい、それだけだったのが、年齢を重ねるにつれ、「教育」によってどんどんその力を殺がれていってると言うこともできるのかも…?!
子どもたちには、教わったことしかできない人間には育ってほしくないですよね。
ビバ!失敗!
失敗したってことは自分の力ではまだできないことにチャレンジしたってこと。
素晴らしいと思いませんか?
以前、オンラインそろばんの生徒さんが素敵な本を教えてくれました。
「失敗図鑑」すごい人ほどダメだった!
https://bunkyosha.com/books/9784866510590
紹介動画も色々ありますが、こどもが見てもわかりやすそうなのは多分こちら。
何もかも平均的に素晴らしくできるようにするなんて求めすぎ。
なのに、何もかもできないとダメと完璧を求められたら苦しいですよね。
こどもも、もちろん同じ。
完璧主義の弊害
完璧主義の人は、ほんの少しの失敗も大きく受け止めてしまうため、失敗しない道=リスクがない=挑戦しないことを選びがち。
お子さんにこういう傾向があるでしょうか? ある場合はリンク先をぜひ読んでみてください。
完璧主義のもたらす弊害と対処法がとても参考になります。・失敗することを過度に恐れる。
・期待した通りに物事が進まないと頻繁に癇癪を起す。
・新しいことへ挑戦するのを避ける。
・間違いを犯すリスクのあることを拒否する。
・恥をかくことを過度に恐れる。
・困難を前にするとすぐに諦める
・するべきことをぐずぐずと後回しにする。
・「優勝できないなら参加しない」など「オール・オア・ナッシング」の選択をする。
完璧主義の子供は成長に悪影響を及ぼす?子育てでの対処法 AllAboutより
カーリングペアレント?!
ヘリコプターペアレントという言葉、ご存じでしょうか?
「モンスターペアレント」、「毒親」と比べると日本ではあまりなじみがない言葉かもしれません。
ヘリコプターペアレント とは、特に教育機関における、子ども自身のことや、その経験、問題に対し、過剰なまでの注意を払う親を指す。
この名称は、ヘリコプターのように「頭上をホバリング」し、子どもの生活のあらゆる側面を絶えず監視している様子から名付けられた。…Wikipedia
最近では「カーリングペアレント」という言葉も。
こどもに少しでも障害になりそうなものを一所懸命取り除いて転ばぬ先の杖を出してお膳立てしてしまう親を指します。
詳しくはリンク先を参照ください。
カーリングペアレントは、子どもが思わぬ方向にそれてしまわないように先回りをして障害物を取り除いていきます。子どもが失敗したり、嫌な思いをしたりするのは親なら誰しも見たくないものです。カーリングペアレントは子どもを守ろうとして人生に降りかかるさまざまな障害物を消し、平穏な道を歩かせようとします。
しかし、失敗のない人生は成長のない人生と同じこと。カーリングペアレントに育てられた子どもは、大きくなるにつれて自立・主体性の面でいろいろな問題が生じるようになります。
ヘリコプターペアレント、カーリングペアレントの影響下に育ったこどもたちは、大きくなってヘリコプターから指示を出してくれる人もいなくなり、道ならしをしてくれる人もいなくなったときにどうなるのでしょうか?
チャレンジと失敗、挫折を経験し、苦労しながら困難を自ら乗り越えてきた経験のある子とどのようなちがいが出てくるのでしょうか?
それ、本当にやさしさ?!
先日こどもの口から出た言葉に「ん?」と違和感を感じました。
遊んでいた時に誰かがかけた何でもない一言(たしかまちがいをちがうよと言っただけくらいのこと)に
『人が傷つくことは言っちゃいけないんだよ』と言う子がいました。
うーん・・・そこで傷つくの?しかもその子だけでなく周りの子もそう感じるの?
もしかしてこどもたちの間でも行き過ぎたポリコレ的なものがスタンダードになってる?
また、勝敗がつく遊びはやらない!という子がすごく増えてきています。
過保護になっているのは家庭だけでなく社会全体になっているのかなと感じて調べたらこんな本がありました。
「やさしさ過剰社会」榎本博明 PHP新書
https://www.php.co.jp/books/detail.php?isbn=978-4-569-83225-8
本当の「やさしさ」って何でしょう?
この問いは常に自分の中に持っておかないといけないと感じています。
投稿者プロフィール
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Bingo! Soroban School 責任者
そろばん教室でこどもたちと接するのが楽しくてたまりません。
自信を持って新しいことにどんどんチャレンジする子が一人でも多くなってほしいと願っています。
中学受験専門塾、中学高校受験塾の講師として15年あまりこどもたちに接したのち、紆余曲折を経て2013年ASOBO!、2016年そろばん教室を立ち上げる。2019年いしど式に加盟、全国珠算連盟認定教師。
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