2024年、新しい年が始まりました。

元旦に能登半島地震、翌2日に羽田空港での不運な事故と悲しい出来事が立て続けに起こり、言葉を失っています。
亡くなった方々のご冥福を祈り、被災者の方々が一日も早く笑顔に戻れることを遠くよりお祈り申し上げます。
本当に辛いですが、誰の身に起きてもおかしくないこと、そのときには悲しみを受け止め、やがて乗り越えていくしなやかな強さを持てるようにならなくてはと思いました。

2024年は龍、辰年です。さらに詳しくは甲辰(きのえたつ)。調べてみると、
甲は、生命の始まり、植物で言えば種子の発芽にあたり、ものごとの始まる意。
辰は、「震」「伸」に通じ、陰陽逆転、陽気が動いて新しいものが芽生え、どんどん伸長していくさま。
とありました。

「始まり」は決してよいことばかりではありません。植物の新芽はやわらかく傷つきやすいですし、幼虫、嬰児はちょっとしたことで命を失いかねません。慎み深く、愛情深く、かと言って余計に手を出し過ぎず、暖かく慎重に子どもたちの成長を見守り支えることを心したいと改めて思います。

近年は日本国内でも世界的にも、「分断」が問題視されています。分断をつくり出すもの、それはもしかしたら理性、知性かもしれないと思うことがあります。現代は世界中が西洋的価値観、ものの考え方に覆われていて、それは理性、知性を恃みとするものです。ただ、理性、知性はしょせん人間程度の生き物の小さな頭から生み出されるもの。それを絶対視するのは相当に危険と言ってもよいのではないかとすら思います。

冒頭に干支の話を持ってきましたが、理知に偏りすぎないことが東洋哲学ではかなり重視されているように感じます。
西洋文明が支配的な現代にあって、理知を働かせるための土台としての生命力というか、感性、直観のようなものの重要性を東洋哲学は示してくれているのかもしれません。両方が必要と思います。

ドイツでの教育を見ていると、頭、理屈に偏りがちで身体が疎かになっていないかと危惧するところがあります。子どもたちはよく訓練されているからか、言葉はよく立ち、理路整然とした説明などは非常に得意で驚きます。一方で、九九や計算など、反復練習しない限りマスターするのは難しいものは、中学生でもままならない子が少なくない印象です。これは、理解することに重きを置きすぎて練習を軽視するからかと思います。また、体育も少ないし、学校に十分な広さの運動場もプールもないのは驚きでした。手先も日本人に比べて非常に不器用な子が多い印象です。

有名な絵本作家、五味太郎さんの本のタイトルに「じょうぶな頭とかしこい体になるために」があります。
非常に含蓄の深い言葉で、まるで俳句のようだとその意味を噛みしめたくなります。

そろばんは、どちらかというと東洋的ですね。反復練習でより速くより正確に、技を磨いていく姿はまるで「珠算道」といった趣があります。
そこでは、理知を働かせるための土台となる生命力を育んでいきたいと感じます。
検定試験に臨むための集中力を鍛え、繰り返し練習する根気を養い、その成果としての昇級という成長実感の喜びを味わう。
その過程で、どうしたら上達できるか、自分で考えて向き合うことで自信を深め、困難を乗り越えていく強さを身につけていってほしいと改めて思いました。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。
2024年、素晴らしい年にしましょう!

投稿者プロフィール

のぶ先生
のぶ先生
Bingo! Soroban School 責任者
そろばん教室でこどもたちと接するのが楽しくてたまりません。
自信を持って新しいことにどんどんチャレンジする子が一人でも多くなってほしいと願っています。
中学受験専門塾、中学高校受験塾の講師として15年あまりこどもたちに接したのち、紆余曲折を経て2013年ASOBO!、2016年そろばん教室を立ち上げる。2019年いしど式に加盟、全国珠算連盟認定教師。