ある男の子(5級練習中)のそろばんのスピードが異常に速くて、時間の半分以内に余裕で全部終わってしまうので、「どうしてそんなに速くできるようになったの?」と聞いてみました。そうしたら、

「とにかくひたすらやりまくった」

単純明快、余計なことは考えずにがむしゃらにやりまくったとのこと。
そっか~、だからとんでもない速さまでいけたんだ~と感心しました。
その子は、何度まちがえようが、意に介さずやりまくります。
そして、まちがえようが正解だろうが、あっさり淡々としています。
まちがえたからといっていちいち落ち込んでたらそこまでできないはず。
このたくましさ、かなりレアです。

わ今までは、まちがえても平気なことをよくないことと決めつけて、「まちがえないようにゆっくりやろう」と速さにブレーキをかける指導をしていました。でも、考えを180度変えてみました。

このスピードは他の子にはそうそう真似できない強力な武器。
そこまでがむしゃらにできること自体がこの子の大きな長所なのかも。
それを生かし、伸ばしつつ、正確性という武器をそこに少しずつ加えていければいいのかなと。

その子の練習を見てるとすごく非効率的なんです。
答え合わせをする、まちがったものはそのまんま。
それでまた新しい問題をやる。また結構まちがえる。
とにかく量とスピード、以上!
もっとやり直しを丁寧にやったり、間違った問題だけを取り出してやるなど効率よく練習したら・・・と毎度アドバイスをするもののまずしません。

やがて、「効率的」って自分が思っていることも、実は全然逆効果のこともあるのかも、と思うようになりました。

「効率よく」とか「合理的」ってよいことだと思いますよね。
反対に「無駄」とか「非効率」、「非合理的」って悪いことだと思ってしまいがち。

でも、この世に良い面だけしかないこと、悪い面だけしかないことって滅多にないんですよね。

そもそも、「効率的」とか「合理的」とか判断しているのは所詮不完全な人間ですよね。長い目で見たときに、効率的ですごくよいと思ったことが逆に足を引っ張って後にひどく悪影響を及ぼしてしまう、実は世の中そんなことだらけ。

これはスポーツの世界では顕著なようです。例えば、サッカーを上手になりたいからサッカーとそれに必要な動きだけに特化して練習するのはとても効率的に思えます。逆に、サッカー以外に木登りとか山登りとか、水泳とか体操とか全然違う色々なことをやるのは一見無駄に思いますよね。
ところが、実際は逆だそうです。

効率的と思っていたものは、たかだか人間の貧弱な頭で考えて勝手に作り出した視野の狭い机上の空論に過ぎないなんてことだらけです。
当たり前ですが、人間はすべてを見て考慮に入れて考えることは絶対にできません。多分、神様にもできません。
必ず、欠けている視点、気づかない観点があります。というよりもものごとのほんの狭いごく一面しか見えていません。

おっと、自分の非を人間一般のことに還元してしまいました・・・ごめんなさい!
少なくとも自分なんかには全然見えていない面がたくさんあるはず、いつもこう思うようにしなくてはと思うようになりました。

話もどって、その男の子のことを想像しました。
こちらが下手に「論理的」に「効率」を考えたところで、それがあてはまる子も多少はいるけど、そんな枠のはるか外にいる子どももたくさんいるはず。
この男の子の場合は、とにかくがむしゃらにやるのが楽しい!
いちいち分析とかやり直しとかしてたらつまらなくてやる気なくなる・・・

オトナの勝手な「論理」はまったくあてはまりません。

そして、まだ小学生の子にすべてを求めていたら、逆にその子のよいところを潰してしまうかも。
こんなにエネルギーを感じる子はなかなかいないので、この強烈な個性を大事にしなきゃ。
今は、がむしゃらにがんばれる力をうんと伸ばすことをメインにしてもいいのかも。

その子が気持ちよく練習できていることを大切に、
慎重さとか分析とかそういうことは今すぐ身につけなくても、
いずれ本人が上級になって必要と感じたときにそこに熱意を向けてくれるはず。
このエネルギーをさらに蓄えて、いずれ他のことに夢中になったときにも大きな力を発揮できるといいなと願っています。

だから、今は実際にまちがうときの癖を伝えて、様子を見守るように向き合い方を変えてみました。

こどもはひとりひとり本当に全然ちがって、適した向き合い方も全然ちがうはず。
個別指導って難しいけれども、こどもの個性が本当に面白いです。

しかし、めちゃくちゃ難しい!!!
だからこそ、こどもから学ばされることが本当に多いです。

投稿者プロフィール

のぶ先生
のぶ先生
Bingo! Soroban School 責任者
そろばん教室でこどもたちと接するのが楽しくてたまりません。
自信を持って新しいことにどんどんチャレンジする子が一人でも多くなってほしいと願っています。
中学受験専門塾、中学高校受験塾の講師として15年あまりこどもたちに接したのち、紆余曲折を経て2013年ASOBO!、2016年そろばん教室を立ち上げる。2019年いしど式に加盟、全国珠算連盟認定教師。