日本発、世界にとてつもない衝撃を与えて音楽教育に革命を起こしたスズキメソード、ご存じでしょうか?

創始者である鈴木鎮一先生は、音楽家であり人格者であり、教育者。
私は20代前半の頃に図書館で著作全集を見つけて借りて読んで凄まじく感銘を受けました。

1932年、鈴木先生のもとに4歳の江藤俊哉が連れてこられました。初めての幼児の指導に日夜悩み続けたある日、先生はあることに気づいて「アッ」と声をあげて驚嘆されました。

『アッ! 日本中の子どもが日本語をしゃべっている!』
わたしは飛び上がって驚きました。

どの子もみんな自由自在に日本語をしゃべっている。
なんの苦もなく、しゃべっている。
これこそ完全な教育法によるものだ。
日本人の子が育つ教育法が日本じゅうにある。

以来、わたしはひとすじに、すべての子どもはよく育つと信じ、”才能教育”と名づけて、落伍する子を出さない教育運動を続けることになりました。
― 鈴木鎮一著【愛に生きる】(講談社現代新書)より

大阪の子はみごとな大阪弁を、青森の子はみごとな青森弁を繊細なイントネーションまですべて完璧に。これはこどもの持つ可能性の素晴らしさ、すべての子がその可能性を持っていることを示しています。

だから、「どの子も育つ。育て方ひとつ」

育て方ひとつ・・・
「まちがった練習をしていればみごとな下手くそになる。」
「毎日音痴な歌を聴いて育てばみごとな音痴になる」
ということもおっしゃっています。

西洋音楽不毛の地、東洋人にクラシックは不可能と言われていたような戦前から素晴らしい音楽家を輩出し、戦後、スズキのこどもたちの演奏は、チェロの神様パブロ・カザルスをはじめ世界中の音楽家を驚愕させました。
当時、西洋でもわずかの才能ある人しか演奏できないような難しいコンチェルトを数百人のこどもたちが軽々と楽し気に演奏するさまは今からは想像もつかない信じ難いものだったことでしょう。

まちがってはいけないのは、スズキメソードは天才を育てる教育ではないということ。むしろその真逆、『ひとりの落伍者も出さない』ことを目的とした教育なのです。

私の理解では、大人たちはこどもの可能性をあまりにも不当に低く見ている。
こどもの可能性はそんなものではない。それと比べたら無限といってよいくらい開かれている。
通常、母語を話すレベル程度までは誰でもが到達できる。ところが母語のレベルと言うのは実はとてつもなく高いレベルなのです。
だったら、他のことも一般に思うよりもはるかに高いレベルに到達する能力をすべての子が持って生まれてきているはずである。
それを音楽で示したのがスズキメソードであり、以降世界の音楽教育レベルは革命的に高くなったのではないでしょうか。

鈴木先生は、こどもの可能性をとことんまで信じていました。当のこども本人、親、周りの誰よりも。
この精神が何より大切ではないでしょうか。
私も、尊敬する鈴木鎮一先生には遠く及びませんが、せめてこどもの可能性をどこまでも信じ抜くということだけは一生持ち続けて子どもたちに接したいと思います。

著書:愛に生きる
ぜひ、ご一読ください!

鈴木鎮一 スズキメソードドキュメンタリー

こどもに関わるすべての人に絶対知っててほしい! その1 深層心理学(ユング):河合隼雄先生
こどもに関わるすべての人に絶対知ってほしい! その2 「どの子も育つ 育て方ひとつ」鈴木鎮一先生
こどもに関わるすべての人に絶対知ってほしい! その3 「信は力なり」~山口良治先生

投稿者プロフィール

のぶ先生
のぶ先生
Bingo! Soroban School 責任者
そろばん教室でこどもたちと接するのが楽しくてたまりません。
自信を持って新しいことにどんどんチャレンジする子が一人でも多くなってほしいと願っています。
中学受験専門塾、中学高校受験塾の講師として15年あまりこどもたちに接したのち、紆余曲折を経て2013年ASOBO!、2016年そろばん教室を立ち上げる。2019年いしど式に加盟、全国珠算連盟認定教師。