「考える」ってなんでしょう?
体験は知性の源かも
授業では数を実感してもらうために、いろんなことをしてもらうことがあります。
手の大きさが何cmか定規で測る、腕を広げたら何cmかメジャーではかる、それは何m何cmか、身長は何cmか測る、一歩の長さは何cmか測る、向こうの建物までの距離は何歩くらいだと思うか予想する。実際に測る作業をして体験してもらいます。
意外なのが、自分の身長、知らない子がほとんどなこと。知らないというのもまったく見当がつかないというレベルで知りません。
我が家の壁には、こどもの身長を測って日付と数値が書かれた成長記録があります。幼児のころから中学校くらいの年齢までの変化がずーっと残ってます。それを見ると色んなことがリアルに思い出され、連想されて。
なんと10年以上の軌跡!
数字って無味乾燥なものではなくて、ものすごくリアルな実感を伴う体験だな~と感じます。
日付と曜日、ちょっと試して!
こどもの考える力を見るのにカレンダーはとってもよい素材です。おうちでぜひこんな風に聞いてみてください。そして、こどもにとってどれほど考えることが難しいのか、数、時間、日付の概念が難しいのかを感じてみてください。
例えば、
今日は何月何日だっけ?
何曜日だっけ?
日曜日、○〇に行くんだよね。あれ、日曜日って何日?
〇〇ちゃん、9月17日がお誕生日って言ってたよね。あれ?何曜日だろう?
考えることは単純な作業から始まる?
こういう日常生活そのものに直接関係するかんたんな質問でも、聞いてみると大人が思う以上にわからないものです。計算しなくても指折り数えてもできるのですが。
そう、指おり数えるという作業をすること自体、もうすでに立派に考えているうちに入るのです。
わからないという子は、何もせずにわからない、と言ったり、なんとなくで当てずっぽうな日にちを答えたり、習ってないからできない、と言ってみたりするのです。「指折り数える」という、初めて数えることを知った幼児ができるほどの単純な作業、小学生でできない子はいないはず。それなのに。
今日は9月8日で木曜とわかったら、9日が金曜、10日が土曜、とひとつずつ数えていくことはとても単純な作業ですよね。
でも、できない。
最近思うのです。
考えること自体は実はものすごく単純な作業の積み重ねなんじゃないかと。
算数なんかではもろにこれが見て取れます。考える子は、まずは手を動かしてあれこれやってみようとして書いたり消したりと格闘のあとが見られます。これに対して考えられない子を見ているとまったく鉛筆が動かず白紙のままか、適当(あてずっぽう)に式をつくって答えを書くので問題用紙が実にきれいです。
考えることができないというのは、その最初の入り口である、手を動かして作業することに慣れていないということかもしれません。
日常生活で数に親しもう
日常生活のあらゆる場面でお子さんは数に触れる機会があります。
カレンダーを見て、今日は9月8日、木曜日だね。
朝、時計を見て、ほら、もう7時35分よ!
駅で時刻表を見て電車が16分と36分と56分に来るんだね。
買い物で、値段を見て、お肉が300gで3ユーロ87セントするのね。
そうした会話や観察を通じてお子さんは数の経験を豊かにしていきます。教えようとかわからせようとかはしない方がよいです。日常の中で数と出会う経験をたくさん積むことが数を理解する下地になります。お父さん、お母さんは、ただ言って、見せてあげればいいんです。
「明日が9日で金曜、あさってが10日で土曜だから、日曜日は11日ね。」
「8時15分までに学校につかなきゃいけないんだから、学校まで30分かかるでしょ?(時計を見て)8時15分の30分前は、5,10,15,20,25,30だから7時45分には出なきゃ!」
はじめに経験ありき
ヘレン・ケラーを育てたサリヴァン先生の言葉で、
経験したことを学ぶのは簡単。経験してないことを学ぶのは極めて難しい。
こどもに数と出会う経験をたくさんつくってあげてください。
それは、知育本とか幼児教材じゃないんです。
普段の日常生活の生きた会話の中で数を体験することがすごく大事なんです。
わかるとかわからないとかはずーっと後、学ぶより前に、まずは、たくさん数の経験をしてほしい!!!
そう思います。
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投稿者プロフィール

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Bingo! Soroban School 責任者
そろばん教室でこどもたちと接するのが楽しくてたまりません。
自信を持って新しいことにどんどんチャレンジする子が一人でも多くなってほしいと願っています。
中学受験専門塾、中学高校受験塾の講師として15年あまりこどもたちに接したのち、紆余曲折を経て2013年ASOBO!、2016年そろばん教室を立ち上げる。2019年いしど式に加盟、全国珠算連盟認定教師。
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