前回はこちら・・・
勉強上手な人って何がちがうの? 4
前回のまとめ
勉強上手な人って何が違うんだろう? たくさん練習してる?
たくさん練習して下手、バカになる場合もあるってほんと?
という流れから以下まできました。
何かを習得するには、
× とにかく練習する
〇 考える→練習する
ただ、考えることに慣れてない子が多い。なぜか?
つづきを考えてみます。
なぜ考えなくなるのか?
すでに日本語を話せる子なら誰でも、考えるために必要な高度な脳みそを持っていることは確かです。とすると環境要因が大きいのでは仮説を立ててみましょう。以下はあくまで一個人の私見なので、お含みおきください。
パッと思いつくのはこんなところでしょうか。
①考えなくて済んでしまう環境
②考えてると邪魔(否定)される環境
③考えると失敗し、考えないと成功する経験を繰り返した
④考えない訓練を繰り返す環境
そんなあほなことあるか?!・・・と思われるでしょうか?
でもこれ、現代(いや、結構前から)の家庭、子育てで実は結構あるあるです。
勉強よりも日常生活で無意識に行っていることの集大成=習慣の影響の方がはるかに大きいはずです。1つずつ考えていこうと思います。
①考えなくて済んでしまう環境
・親がすぐに先回りして何かしてあげちゃう、言ってしまう。
・こどもの代わりにやってあげちゃう
これらは、こどもが自分でやって失敗する経験を奪ってしまいます。
インターナショナルスクールを見学した時も、先生方が何度も口にされていたのが、
「どんどん失敗させる」
「安心して失敗できる、試せる、チャレンジできる環境」
「失敗するから多くを学べる」
例えば、小さな子が転んだときの親の反応2パターンとこどもの反応のちがい
① 「大丈夫?」「痛かったね?」とすぐに駆け寄る
② じっとこどもの様子を観察する
日本人は①が多いそうです。対して西洋人は②が多いとか(うろ覚え)
①をした瞬間に、こどもは「わーん・・・」と泣き出す。
②では、こどもはしばらく「あれ?何が起こったんだろう?」というような様子で戸惑い、親の姿をさがす。(うろ覚え、だいたいこんな感じ)
「経験」には外面と内面と2つあります。外面は①の子も②の子も同じ、転んだという経験。
でも、内面の経験はまったくちがってきます。
①の場合には、こどもが転んだ経験を味わうすき、ヒマを与えず間髪入れずに親が「大丈夫?」「痛かったね?」と解釈と感情まで与えてしまってます。このとき頭の中で起こるのは、インプット=転んだ、アウトプット=親の反応になりがち。「わーん・・・」と泣くのは、親に対してのアピールであって、痛くて泣いてるわけではないことがほとんどのようです。また、まさか、自分の経験が奪われたことへの悲しみではないかと思います(笑)
②の場合にはこどもが一人で経験をゆっくり味わっているように見えます。こちらもやはり目には見えないけれども、こどもの内面、頭の中では色んなことが起こっているはずですが、①の場合とはまったくちがう内容になっていることでしょう。
こどもを「信じて」「待つ」ことは、現代の親にとっては非常に難しいことのようです。
でも、辛抱強く「信じて」「待つ」ことでこどもの土台となる根っこと幹がゆっくりゆっくり育っていくのではないか、とよく思います。
とはいえ、「信じて待つ」のは非常に難しいです。だからいっそのこと「人間観察」と思ってとにかくこどもを観察してみるのはどうでしょう?
すべての場面が人間への理解洞察を深める機会と思うとよいかもしれません。わが子に対してだけでなく、人間全般に対する理解が深まるはずで、それはきっと仕事にも大いにプラスになることと思います。
・こどもの「なぜ?」に答えを与えてしまう
例えば虹が出ているのを見て、「どうして虹が出るの?」という疑問を持ったとき
そこに答えは無数にあって構わないでしょう。
・科学的答え・・・科学的な正しさを求める場合
・文学的答え・・・文学的な美しさを求める場合
・ファンタジックな答え・・・自由な空想的発想を求める場合
・宗教的答え・・・各宗教が虹をどう解釈してきたのかを比較したい場合
・神話的答え・・・比較文化学的な答えを求める場合
・哲学的答え・・・見えるとは何か?色とは何か?現象とは何か・・・(笑)
・お笑い的答え・・・このお題からどうやって笑いを作り出そうか?
正解はこれ!
とは限らず、同じ言葉でも問いの立て方は無限にあるし、科学的な答えすら後世になって訂正されることもあり得ます。
きっと大事なのは、
「あなたが何を感じてるか」
「あなたの考えを聞きたい」
とこどもの関心に関心を持つことなんだと思うのです。
答えを与えてしまえばそこで終わります。
こどもの「なぜ」につきあうのは面倒くさいので、大人側からしたら答えを与えてしまえば自分の費やす時間を最小限になるので手間暇かからない最速最良の問題解決方法でしょう。
でもそれは、ファストフード、ファストファッションならぬ「ファストエデュケーション」と言えるのでは?
「ファストエデュケーション」で、本当にいいのかな?
こどもの関心に関心を持つ
「相手の関心に関心を持つ」
これはアドラーの言葉です。まずは1日1回だけやってみるとか決めて試してみると、むしろ自分の幅が広がり、見えるもの感じ取れるものがちがってくるので、おすすめです!
長くなってしまったので、以下の3つについてはまた改めて書いてみたいと思います!
②考えてると邪魔(否定)される環境
③考えると失敗し、考えないと成功する経験を繰り返した
④考えない訓練を繰り返す環境
投稿者プロフィール
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Bingo! Soroban School 責任者
そろばん教室でこどもたちと接するのが楽しくてたまりません。
自信を持って新しいことにどんどんチャレンジする子が一人でも多くなってほしいと願っています。
中学受験専門塾、中学高校受験塾の講師として15年あまりこどもたちに接したのち、紆余曲折を経て2013年ASOBO!、2016年そろばん教室を立ち上げる。2019年いしど式に加盟、全国珠算連盟認定教師。
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