前回書こうとした、具体的なレッスンの様子を紹介したいと思います。
なぜ書こうと思ったかというと、こどもたちの素晴らしさに感激したから。
レッスンのもとになっている考え方は前回の記事に簡単にまとめました。
レッスンで何の力を磨きたい?
さて、こどもたちに本当に必要なこと、大事なこと、最上位目標は「自分のアタマで考える・学び続ける」でした。
そこに行くまでの最初の段階「興味・好奇心」を育てるために授業内でやっていることは、また別の機会にご紹介しますね。
その次の段階、「学び方」と「仲間」。
先日のレッスンではここに思いっきりフォーカスして行いました。
しかし、ここで早くもジレンマが。そろばんのレッスンなんですが、そろばんの前に「数・算数への興味」を呼び起こしたり、「学び方」を学んだりすれば当然、レッスン内でそろばんを使って解く問題量は減ります。でも、面白い、楽しいという気持ちでそろばんにハマった子の伸び方は尋常ではありません。効果的な学び方を習得した子は、自分で学び進めていけます。
急がば回れ、でここは本当に大事なところです。
学び方を学ぶ
オンラインレッスンでは、Google Slideでのプレゼンテーションも織り交ぜて進めています。
ちなみに、このクラスの最年少は小学2年生でしたが、基本的にこども扱いはしません。漢字もルビなしで普通に使います。
アウトプット
問いかけて、こどもに、自分のことばで表現してもらうことを大切にしています。
「練習する」「たくさん練習する」とか出てきます。すべて、アクセプトします。
発言が認められる、という経験自体を大事にしています。ただでさえ日本の子は発言したがらない子が多いので、それを引き出す、発言するのが楽しいという方にもっていくことを目指してます。
ただ練習しただけだと3くらいしか力つかないところが10とか20ついちゃったりすることもあるんだよ。 でも、
これを問いかけて考えたことをどんどん言ってもらいます。
こどもたちの言葉はリアルタイムでスライド上に書いて残していきます。
使うことばが思考のレベルを決める
これ、発言した順に書いていきました。最初の子(新2年生)がサラッと言ってのけた発言にいきなり驚愕です!
「なにを工夫するかを考える。」
そもそも言葉を抽象的に使いこなしている時点ですごいです。小学校低学年って、もっともっと具体的、直接的で概念的なことをサラッと当たり前のように自分の言葉で表現できるなんて、レベル高っ!
私が2年生のときと比べたら月とすっぽん、雲泥の差。どっちが先生なんだかわかりません。
このことばの使い方も天才的だね~
「なにを工夫するか考える」って例えばどんなことかみんなに説明してくれる?
ことばの使い方ってそのまま思考のレベルに影響します。抽象的な言葉を使うときは抽象的な思考をしているはず。
ということは、レッスンの中でもこどもたちの使う言葉の抽象度を上げていくことで、対話、コミュニケーションによって思考レベルを上げていけるはず、と考えています。
なので、そもそもの始まりの問いかけも、
「ものごとが上達する秘訣とは?」
と抽象的な問いかけにしています。
抽象的=汎用性が高い=他のことにも応用できる そういう思考を育てていきたいですね。
これについては改めて別のレッスンを題材に書いてみたいと思います。
「共有」という強力な学習方法
なお、各発言に対して「なぜ?」を聞きます。
端的にパッと出てくる発言に対してなぜそう考えたかを問いかけています。
グループレッスンの大きなメリットは、他の子の考えを「同時に共有できること」だと思っています。
実は昨年ISDの授業を見学したときに、「共有」の効果を非常に効果的に使っていて感銘を受けました。
仲間同士でアタマの中を共有する。ある子の発言は別の子の内面を刺激しているはず。発言しなかったとしても。それが高まって発言にまで至ればなおいいです。
他の子の発言を聞いて、絶対「なに? コイツ、やるな・・・」と思っている子がいるはず(笑)
結構みんなの言ってたのとかぶってるね!
か〇〇んの「目的」とかもろに1番だし、み〇〇っちの「工夫」とし〇〇きちの「見直そう」は2番だし、な〇ちきの「黙想」は3番だね~
レッスンの時間が短いので、どうしても駆け足になってしまうので、ここでも私の用意したのをサッと見せて、みんなの考えたことを整理して次に入る準備をします。
今回は「準備」として
目的:みとり算の強化
テーマ:練習の工夫(2口覚えて一気に入れる)
理由:アタマよくなる・記憶力増強・ミス減らす・スピードアップ
で取り組んでみました。
練習後で差がつく~振り返り
練習後の振り返り
・自分の感じたこと
・次はどうなりたいか
自分の感じたことを言語化するのは非常に大事です。それによって初めて意識できることがあります。最初は本当にざっくりとしたことしか出てきませんが、繰り返すうちに徐々に細部まで意識が行くようになります。そして、次にどうなりたい、どうしたいか。
意志を育てる
ごく簡単なことからでも、自分のアタマで考え、自分の意志で決定して、それを実行してみる。振り返って次を考える。
これを繰り返しながら質を高めていきたいですね。
他人に言われたことを何も考えずにただやるだけの学習ならしない方がいいのではないかとすら思います。
「今回やった見取り算の工夫はあくまで1つの例だから、自分でもいろいろ工夫してみて、来週それを教えてくれたらうれしいです!」と伝えて時間になってしまいました。来週が楽しみです。
目的達成のためにアタマを使う
同じ日の別の授業ではこんなこともありました。
オンラインレッスンになってから暗算2級に取り組み始めた新2年生のHくん、最初は難しかったの、あるやり方を教えたら結構できるようになりました。
その後すごい勢いで伸びたので、どういう風に暗算しているかを聞いてみたところ、教えたやり方ではなく自分流に工夫したやり方に進化していました。自分なりの方法を編み出すなんて、ホント素晴らしいですね~。
ひとりひとりの子が、自分なりのベストな学び方を見つけていけるようにサポートしていければと思っています。
この点はかなり気を付けてサポートしてあげないと、多くは無目的な練習、練習すること自体が目的の練習になりがちでした。より具体的な目的意識を持って取り組めるようになりたいですね。そうして練習を自分で工夫するようにもなっていけると伸びていきます。
「たくさん練習するのがよい」思考については、その危険性?をこちらに記事にしています。ぜひお読みいただけたらと思います。
投稿者プロフィール
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Bingo! Soroban School 責任者
そろばん教室でこどもたちと接するのが楽しくてたまりません。
自信を持って新しいことにどんどんチャレンジする子が一人でも多くなってほしいと願っています。
中学受験専門塾、中学高校受験塾の講師として15年あまりこどもたちに接したのち、紆余曲折を経て2013年ASOBO!、2016年そろばん教室を立ち上げる。2019年いしど式に加盟、全国珠算連盟認定教師。
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