「自分はできる」マインド、これだけはしっかり持てればOK!

(それだけだとちょっと・・・と思いますよね? 確かに。それについては改めて触れます!)

という話を交わした翌日の授業のこと。

(前回の記事はこちら)

たった1つだけ、これがあればOK!~フランクフルト夏期講習を終えて①

 

講習最終日。前日にプチ検定試験をやってそれぞれのレベルをクリアし、その日は最初の時間にみんな賞状をもらいました。
たった5日ですが初日のことを考えるとすごい成長したなあ、とウルウル・・・まではしないものの、やってよかったなぁと感慨に浸ります。

一人一人に変化があって書き切れません。その中でも元気な、よく笑い、よく泣く、正義感の強い男の子(Bくん)。

「やだ。できない。」
と昨日は言ってたところを
「やってきたよ-」
と言って見せてくれました。

そして、「簡単簡単」とどんどん進めます。

ところが突然、
「できない~!」
と涙混じりに癇癪を起こしました。

見てみるとさっきまで簡単にやっていた同じ内容です。
本来ならできないはずがないけど。(でも、こういうことはよく起こります)

私:「できるできる、さっきできてたもん」
B:「できない!どうやってやるの!」

まるで「今日はごはん抜きよ」って怒られてこの世の終わりみたいな勢いの悲壮感で涙を浮かべています。

私:(これはすごいチャンス!!!)

えっ?ひどいですか?

でも、ホントこういうときが、こどもが大事なことを身をもって学ぶチャンスなんです。これを逃してはならぬ。

今この男の子の頭の中は、「できない、できない、できない!」という思いでいっぱいで他に何も入る余地がありません。
感情が高ぶってパニックしてるようなもの。そりゃあ、できるものもできなくなります。
「教えて」と言っているけれども、やり方を教えても意味がない。意味がないっていうよりそれじゃあまずい。

いったん目の前の問題から離れて、自分の状態を一緒に見つめます。どんな気持ちか、なぜそう思うのか。

そして、できているものを一緒に見ます。今までできていたのですから、振り返るとすべて〇。全部できています。

私:「ほら、ぜーんぶできてるよ。先生はBができるってわかってるから。Bが自分でできないって思いこんでるだけだよ。」

B:「でもできない!」

「できない」マインドの真っただ中にいる人に、「できる」マインドになりなさいと言っても土台無理な話です。

一緒にやってみて、

「ほら、できるじゃん」

という経験を何度も繰り返すうちに、

「そっか、できないっていうのは思い込みかも」

と少しでも思えるようになってくれれば大きな進歩。

 

次の段階、できないときの反応がおのずと変わってきます。

あれ?おかしいな?と自分でやり直すようになります。

この時点で、「できるはず」と無意識に思えているのです。

できると思うからやり直すのです。

 

あんなに「できない」と大騒ぎしていたのが、落ち着いて対処するようになったらすごい成長です。

Bくんもまだ小さいのに私の話~できないって思いこんでるからできるものができなくなっているだけだよ。

 

できるって思うのとできないって思うの、どっちが楽しい?

 

できるんだから、できるって思ってやった方が楽しいよね?

 

~をよく聞いて、しゃくりながらうなずいています。

幼児には難しいだろうなと思いつつもじっくり話し込んでしまいました。

こうしたことは一度の経験でパッと変われることではなく、何度も繰り返し経験していくうちに、あるときストンと自分の中に落ちていくものなので、根気よく時間をかけて向き合い続けていくことが必要ですね。

 

感情のコントロール、メンタル、基本的なマインドのあり方というものは、例えばアスリートにとっては極めて重要。
でも、普通の人はそんなこと習いもしないし学ぶこともなく大人になります。

 

それは、本当は生きていくうえで最も大切なこと、土台になるもののはず。それを身につけていく絶好の練習の場として、そろばん教室が存在しています。

 

そろばんはきわめてシンプル。勉強というよりは遊び、ゲーム、スポーツ感覚。こどもたちには、そろばんを通じてこうしたメンタル、今後の人生に必要な資質が育ってほしいと思います。将来大人になってからそろばんを使うことはまずないでしょう。そろばんの先生にならない限りは。でも、そろばんを通じて培った力はあらゆる場面で生きてくるはず。

 

フランクフルトの夏季講習に参加してくれた他のお子さんでもやはり似たようなシーンがありました。それはまた次回・・・

投稿者プロフィール

のぶ先生
のぶ先生
Bingo! Soroban School 責任者
そろばん教室でこどもたちと接するのが楽しくてたまりません。
自信を持って新しいことにどんどんチャレンジする子が一人でも多くなってほしいと願っています。
中学受験専門塾、中学高校受験塾の講師として15年あまりこどもたちに接したのち、紆余曲折を経て2013年ASOBO!、2016年そろばん教室を立ち上げる。2019年いしど式に加盟、全国珠算連盟認定教師。