Lちゃんは日本でいうところの養護学校に通う女の子。
2020年2月にご両親とBingo!を訪ねてきてくれました。(当時14歳)

読み書きに関して、特別なメソッドで指導するところに通ったところ目覚ましく進歩したのに手ごたえを感じ、
計算、算数もそのようなメソッドがあるのではないか?と色々探したそうです。
お母さんの母国のフランスでそろばんを知り、検索してうちを見つけてくれました。

そのLちゃん、車で1時間と少し遠いところに住んでいるので、基本オンライン、月に1回対面でスタート。
と思ったら翌月からコロナでオンラインのみになってしまいました。
ところが、その進歩のしかたがすさまじいのです。

そして、改めて今の多くのドイツの子(大人も)には大の苦手でとても真似できないような素晴らしいところがたくさんあることに気付かされました。

1 礼儀正しい
2 素直
3 忍耐力がある
4 謙虚
5 失敗を無駄に怖れない

だから、そろばんの上達も他のいわゆる健常者であるドイツの子より遥かに速いんです。

これらは、何かを学ぶときに非常に大事な資質と思います。
しかし、こちらの子の多くにはなかなか見られない資質でもあります。
現代のドイツのこどもをとりまく文化、環境がそうさせているのでしょう。

ただ、この話は長くなってしまい今回の本題とそれるので触れません。

Lちゃんのご両親が意識して以下のことに気を付けたそうです。

・人の話を聞く練習をする
・まずその通りにやってみる
・1回でできなくても何度もやってできるようにする

Lちゃん、手先は硬直しがちでかなり不器用な方だけど、教えたとおりにやろうとしてくれる、それがどれだけありがたいことか。だから上達も断然速くなります。
まずはその通りやってみる素直さって本当に大事ですね。

実はLちゃんのレッスン(ドイツ語でそろばん)をコロナ前からオンラインでやっていてまったく問題なくできていたので、ロックダウンの際に躊躇なくすべての授業をオンラインに切り替えました。ロックダウン決定1週間後にはもうオンライン授業を始められたのですが、日本人のご家庭は素晴らしく協力してくださってスムーズに移行できて本当に感謝するばかり。

ところがドイツの家庭で、オンラインで普通にできるのは3分の1かもっと少ないでしょうか。
悪戦苦闘の連続で、どんなに工夫して手を打ってもなかなか改善されませんでした。

教室では気づかなかったんですが、オンラインになってみるとこちらの子は、
ベッドにねそべって参加、公園から参加などなどカオスすぎる、学ぶという態勢がつくれない子が半分以上でした。
もちろん、すごくしっかりして準備ばっちり、学ぶ態勢にある子もいます。

話をLちゃんにもどします。そんな感じがこちらの子たちの標準なので、繰り返しになりますが

1 礼儀正しい
2 素直
3 忍耐力がある
4 謙虚
5 失敗を無駄に怖れない

を持ち合わせているLちゃん、素晴らしすぎて涙が出ます。

残っていたメモです。

2020年3月1日
現地の子で自閉症スペクトラム、学習障害のあるティーンエイジャーの子が両親と一緒にそろばん体験に来ました。
すごい楽しんでくれて、目を輝かせて、これはすごくやりたい!と本人。
ホント嬉しい!
ひとりひとりの特性にあった学び方をすれば、もっともっと伸びる子はいくらでもいるし、それで自信を深めてくれたら何よりです。
早速月曜日からスタートすることに。
素敵な意義深い時間を共有できるようにしたい。

2020年3月8日
3回目のセッション。
・指の動きも少しずつよくなってきた。
・思った通りに珠を動かせるようになった。(前は指を思った位置にもっていくのがもっとぎこちなかった)
・2桁、3桁もできるようになった。(年齢大きいのでやはり2桁、3桁も最初からやってあげたい)
・スピードも上がってきた。
そして、英語で読み上げ算ができた!!
これからは全部英語でやることに。
とにかく本人が楽しんでやる気があるのが何より。
そろばんで、今まで眠っていた能力がどんどん目覚めていってくれたら、自信につながってくれたら本当に嬉しい。
しかも英語まで!
英語も好きになったらできちゃうはず。
そうしたら一気に世界が広がるなあ。
日曜の朝から嬉しいひととき

2020年5月12日
2ヶ月。14歳で、今九九を学校で学んでいるところなんだけど、そろばんではもう2桁×1桁の練習に入った。
とにかく楽しく、その子の心地よいペースでとやっていたらビックリ。
もっともっと苦労することを覚悟していたので。
じっくり基礎をやりながら、難しいものができる喜びを常に感じてもらえるように。
お母さんが本人の自立を助けながら絶妙なサポートをしてくださるのも大きい。
ちなみに会話はドイツ語、数字は英語。
英語でやるのが気に入ってて、まちがってドイツ語で数を言ってしまうとNobuuuuu!と怒られる(笑)
そろばんの扱いも大分なれてきて、いよいよ暗算にもチャレンジ。毎回、嬉しいレッスンになっている。

2021年5月9日
9級に挑戦。
本番のようなストレスフルな状況(10分×2本)で集中力が続くか、メンタル面が心配だったけどみごとに時間中ずっと集中して取り組んでくれて嬉しい!
合格点、ぎりぎり届いてるんじゃないかな。
模擬試験だけど合格してますように!

2021年9月27日

久しぶりに対面レッスン。
やはり忍耐力、根気、素直さ、集中力の継続も他の子に比べて断然素晴らしいと再認識。
伝えると、2歳の頃から色んなセラピーを続けていて、その中で
・よく聞くこと
・根気よく取り組むこと
をずーっとトレーニングしてきたとのこと。
長年の積み重ね、努力があって今のLちゃんがいる。
九九はギムナジウム(小学4年生までの成績がよくないと行けない)でも怪しい、ちょっと考えないとできないという子が少なくない印象。

Lちゃんは九九をほぼすべて覚えてるのだけどさらにブラッシュアップ。
各段ごとにランダム出題を9問、タイムアタック。これをすべての段で。
ここまで根気よくやれる子がそもそも少ないのです。
集中が持たない。
Lちゃんは加えてその後苦手だった4の段と6の段の苦手な箇所を取り出して練習。そして再びタイムアタック。するとタイムが半分以下に短縮。
集中力の持続時間も長いし、素直に真剣に取り組む姿が美しい。

投稿者プロフィール

のぶ先生
のぶ先生
Bingo! Soroban School 責任者
そろばん教室でこどもたちと接するのが楽しくてたまりません。
自信を持って新しいことにどんどんチャレンジする子が一人でも多くなってほしいと願っています。
中学受験専門塾、中学高校受験塾の講師として15年あまりこどもたちに接したのち、紆余曲折を経て2013年ASOBO!、2016年そろばん教室を立ち上げる。2019年いしど式に加盟、全国珠算連盟認定教師。