前回こちらの記事「ほとんど教えてないのにそろばん3級をマスターしちゃった?」の続きです。
スキルの未来
オックスフォード大学のマイケルオズボーン教授が発表して世界中で話題になった「雇用の未来」と「スキルの未来」。
2030年、もっとも必要とされるスキルといえば何を思い浮かべるでしょうか?
どんな仕事なら食っていけるかとどうしても職業を思い浮かべてしまうかもしれませんね。
もっとも必要とされるスキルの1位ととして挙げられているのが「戦略的学習力」です。
https://newspicks.com/news/3804117/body/
「戦略的学習力」は昔から重要でしたが、意外とごまかしが利いたともいえるでしょう。
要は根性でがんばって単純作業ルーチンワークを覚えればいくらでも仕事がありました。
就職すれば安泰、資格を取れば安泰・・・
でも、今後あらゆる仕事がかなりのレベルまで、自動化されることが予想されます。プログラマーの仕事すら大部分は単純作業として自動化されるのではないかと思います。ただその前にまず、同じスキルなら労働コストの安い国の人に仕事を奪われることが多くなっていくでしょう。
だからこそ、スキルの未来にあがってくるスキル名が抽象的な単語ばかり。
より人間的な本質が問われていくとも言えます。
1位:戦略的学習力 Learning Strategies
2位:心理学 Psychology
3位:指導力 Instructing
4位:社会的洞察力 Social Perceptiveness
5位:社会学・人類学 Sociology and Anthropology
以降、教育学・協調性・独創力・発想の豊かさと続いていきます。
なぜ「戦略的学習力」なの??
弁護士、税理士、会計士といった高度に知的な仕事も自動化されていき、スポーツトレーナーといった人間にしかできなさそうな分野ですら、高度なデータ活用が可能になることで自動化が進んでいきます。需要はそれらを自在に活用するさらに高度なスキルを持った人間に集約されていくのではないでしょうか。
教育現場でも劇的な変化が既に始まっています。
「教えない授業」で有名なある先生はあちこちにひっぱりだこです。
先生の役割も完全に変わります。今後、遅かれ早かれAIをアシスタントとして活用できることが現場の先生には必要最低限のスキルになってくるのではないかと思います。
社会が加速度的に進化していく中で、人間に求められるものもすごい速さで変化します。
まだ存在すらしない仕事につくこどもたち
今のこどもたちがオトナになって就く仕事のほとんどは今は存在すらしていない仕事になります。
(この表現もいささか時代遅れというか、人が仕事に就くという考えから、仕事が人につくと考え方を変えた方がよいでしょう。)
さらに、一生の間に何度もの社会の変化を経験し、その度に新しいスキルを新たに学んで活用していくことになります。
つまり、ほとんどの人が一生の間に少なくとも3~5個くらいは異なる仕事を経験することになる可能性が高いのです。
環境の変化に適応していくには、「学習力」が最重要、効果的かつ意義のある学習をするには、そこに「戦略的」思考が不可欠というわけです。
で、そもそも「戦略的学習」って何なの?
これは、自分なりに納得する解釈を考えてみることが一番ですね。
あくまで個人的な考えですが、
① 自分の目的達成のために
② 「何を」
③ 「どのように」学ぶかを
④ 調べ、考え、実行に移し
⑤ 試行錯誤しながら学習を最適化していく
ことととらえています。ちょっとわかりにくいかもしれないですね。
そろばん学習でこのプロセスを練習することに非常に大きな意義がありますし、学校の教科学習よりもダイレクトに取り組みやすいのではないかなと思っています。これについてはまた改めて記事にしますね。
①の目的が、人によっては幸せだったり、富だったり、名誉だったり、好奇心だったり色々だとは思いますが(笑)
ただ、いずれにせよ、今後の世界で「戦略的学習力」は「幸せ」に直結する要素ですね。
トレンドの表面ではなく本質を追う
最近教育界では、「探求学習」とか「課題解決型学習 PBL(Project-based Learning)」がトレンドになってます。
コンセプト、本質のところはすごく共鳴共感します。とてもよいと思います。でも、なんかこうもっとシンプルにもっとダイレクトにできるんじゃないかな・・・と正直感じています。「探求」「PBL」もツールの1つであって。
問題解決能力を磨く
「問題解決能力」とか言うとなんだかおおごとに聞こえそうですが、いたってシンプルなこと。
例えば、
検定試験に合格したい。でも、スピードがたりない/正確性が足りない。どうしよう?
という問題に解決策を考えて実行する。
これって立派な「問題解決」だと思いませんか?
自分の抱えている問題を解決する方法を身につける。
一番自分ごととして取り組めて、応用範囲が無限。
こどもの教育において、問題解決能力を磨くなら、やはり一番に取り組みたいのはこれです。
① 自分の能力を高める方法・・・自分にあった学習方法を探り当てる
これは、技術・方法論です。教えられますが、試行錯誤の経験を通じてしか習得はできません。
でも、題材は何でもいいんです。算数だろうが英語だろうが、駆けっこだろうがお絵描きだろうが音楽だろうが、アプローチはすべて同じ。
自己分析や問題分析の方法とか、解決策のあて方とか、そろばん・暗算という競技で能力を磨くために取り組むアプローチがそのまま汎用的な問題解決能力の向上につながるように指導の方向性をシフトしていきたいと考えています。
もう1つ大事な点がこれ。
② 自分の特質を知って好きなこと、得意なことをうんと伸ばす。
これは、1人1人まったくちがいます。まず、自分を知ること。決まった理想の型にはめるのではなく、その子がもっとも輝ける方向に伸びていってほしい。
例えていえば、既成品のスーツに身体をあわせるのではなく、自分の身体にぴったりあってさらに引き立たせるスーツをオーダーメイドするみたいな。
Bingo!ではこれらについて本気で正面から取り組んでいきたいなと思います。
投稿者プロフィール
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Bingo! Soroban School 責任者
そろばん教室でこどもたちと接するのが楽しくてたまりません。
自信を持って新しいことにどんどんチャレンジする子が一人でも多くなってほしいと願っています。
中学受験専門塾、中学高校受験塾の講師として15年あまりこどもたちに接したのち、紆余曲折を経て2013年ASOBO!、2016年そろばん教室を立ち上げる。2019年いしど式に加盟、全国珠算連盟認定教師。
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