・あのスタンフォード大学にオンラインの高校があった。
・しかも15年近く前から。
・しかも現在の日本人校長先生が立ち上げからずっとリードしてきた。
これを聞いて驚かない人は少ないかと思います。
先日まさにその方、星友啓校長先生にオンライン読書会でお話を伺えるとのことで、ドイツ時間の深夜3時から、かなり無理して参加してきました。
以下ざっとまとめ&感想です。
スタンフォードオンライン高校
一般的な紹介は他にググればいくらでも出てくると思うので、うかがったお話の中から印象的な部分のみご紹介します。
2006年に開校。驚きなのがその中身です。
スタンフォードと言えば、そして2006年当時と言えば米国で盛んにSTEM教育が言われていたころ。ところが、スタンフォードオンラインハイスクール(中高一貫)の教育のど真ん中は、「哲学」でした。
生き方、感情のコントロール、他者とのコミュニケーション、コラボレーションなど自己と社会性の教育に真正面から、しかもオンラインで取り組むという難しさは、技術が格段に発達した現在でもなおハードルが高いと思われがちですよね。
しかも米国で、儒教や東洋思想も大いに取り込み、様々な宗教、思想、哲学をフラットに扱う内容はなかなか社会的に受け入れられにくいでしょう。
それをゼロから、しかも日本人が米国、いや世界の最高峰ともいえるスタンフォード大学でつくりあげていったというのは普通あり得ない!
そんな星先生が読書会に登場、直接お話を聞ける、質問に答えてくださるとのことで、参加させていただいたことに参加前から感謝の気持ちでいっぱいでした!
世の流れと逆行 なぜ受け入れられた?
さらにかっこよいのが、時代の流れに逆行し続けて創立から一貫して理念を実践し続けていること。
実はオンライン教育は米国でも世界的にも一時期非常な盛り上がりを見せ、やがて衰退、最近特にコロナによってまた違う形で盛んになってきました。初期のオンライン教育は動画や教材提供で一方通行的なものでした。これは、世界のどこにいても超一流大学の講義が聞けるなど大きなインパクトがあり、大学側もコンテンツ販売によって大きな利益が得られるので爆発的に広まったのですが、しばらくしてみると受講者の脱落率がなんと9割!
それを横目に何を言われようが地道に我が道を行き続けた星校長先生。
哲学から入る教育が受け入れられ、多くの賛同、支援を得た理由を星先生はこう語ります。
・哲学の「前提を問い直す」という態度
・違った価値観を認める
・西洋と東洋の思想を知る
これらの取り組み方が「ゲームチェンジ」や「イノベーション」を起こすのに非常に重要なものだという認識があったんですね、と。
なるほど~ものすごく納得です。
哲学、自己を知り、他者との関係性をつくるという教育は時間もかかるし目に見えにくい、非常に地味でわかりにくいもの。
対してSTEM(Science, Technology, Engineer, Math)は数値化して短期で成果が見えやすくわかりやすい。
でも、哲学を通じて自分という人間の幹(Stem)をしっかりつくりあげていくことこそが重要で、STEM教育でもてはやされる知識や技術といったハードスキルはそれがあった上で枝葉に花を咲かせるもの、とも言えますね。なんともおもしろいさかさま現象です。
ここ最近では日本では「非認知能力」の重要性が盛んに言われていますが、同じ方向性を感じます。
ソーシャル・ブレイン
このお話も面白かったです。
ひとことで言うと、グループ、他者とのかかわりの中で学ぶと学習効果が格段に高いというお話です。
ひたすらドリルをやるよりも、今学んだことを他の子に教えてみるといったことです。
これはぜひご家庭でも促してみてください。そろばんをこどもに教えちゃダメです。こどもに聞いて教えてもらってください。そうするとお子さんの様々な能力が目覚めます。
ただし、言語化の能力は発達には時間がかかるので、うまく説明できなくてもイライラしないでくださいね。
うまく説明できないことが前提、だから練習しているのですから。
質問のしかたを工夫することによってこどもは話せるようになっていきます。
その際に後述する「アクティブリスニング」が非常に重要です。
ギフテッド教育
このお話も大変面白かったのですが、長くなりすぎるので割愛します・・・
ひとことで言うと、こどもは多様。凸凹の差の激しい子もいる。だからこどもが自分にあった学び方をすることが大事。
評価
スタンフォードオンライン高校では、点数をつける機会は非常に少ないそうです。
「そこから学べない点数はつけるな」というモットーがあるそうです。
それよりも文脈(ナラティブ)、結果だけではなく過程やそこにいたる思考などをより重視しているとのこと。
生徒の学び、成長そのものを第一に見ているのですね。
なので、教科でひとくくりに1とか5とかつけるのではなく、項目ごとに能力の習得度合い(Mastery)を評価していくそうです。
スタンフォード式「生き抜く力」
実は、本を読まないうちに読書会に参加になってしまいました。
当日は読み方を教わり、5分だけ読む時間をもらって読んだ後に星先生のお話になりました。
5分で何を読んだかというと、
1分で表紙、初めに、目次をざっと見る。
3つのキーワードと3つの問いをつくる。
5分間、気になるところを指でガイドしながらザーッと高速で読んでいく。
で、そのあとちゃんと読んでいないのですが、読み取れたことはこちら。
1 聞き取る力
2 共感する力
3 与える力
アクティブリスニングで1と2を高めます。
・言い換え。相手の話を聞きながら、重要と思った言葉を自分の言葉で言い変えて口にする。
・質問して確かめる。ちょっとした疑問やこの意味であってるのかな?ということをその場で聞いて確かめる
・共感を示す。大変だったねとか嬉しいですねとか。「わかる~」はNG。お前にわかってたまるか(笑)となるから。
・集中を示す。身振り手振りで話に興味があること、聞きたい気持ちを伝える。
やってはいけないことも書いてあります。
共感力を高める瞑想、与える力を高める「親切リフレクション」が解説されています。また、共感は人と同じにすることではまったくない。人はみな違うことを理解することが出発点、さらにその違いを越えて他者を理解するというところも重要。日本人のイメージする共感とはもしかしたらちょっとちがうかも。
他に気になる項目としては、コラボ力、コミュニケーション、本当の幸せの見つけ方などなど。
全編に共通するのはキーワードは「利他的マインド」~自己中でもなく、忖度でもなく~
詳しくは本書に書いてあるのでぜひ読んでみてください。
アクティブリスニングはお子さんとの接し方にも非常に役立つはずです。
学びのぎゅっと詰まった2時間の読書会、やはり著者その人に会える、直接お話が聞けるというのはオンラインであっても非常に貴重な機会ですね!本からだけとは違う学びができます。動画とは違ってリアルタイムでつながってこんなことが可能になったというのは本当にありがたいですね。
主宰の方々、星先生、大変ありがとうございました!
投稿者プロフィール
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Bingo! Soroban School 責任者
そろばん教室でこどもたちと接するのが楽しくてたまりません。
自信を持って新しいことにどんどんチャレンジする子が一人でも多くなってほしいと願っています。
中学受験専門塾、中学高校受験塾の講師として15年あまりこどもたちに接したのち、紆余曲折を経て2013年ASOBO!、2016年そろばん教室を立ち上げる。2019年いしど式に加盟、全国珠算連盟認定教師。
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