Bingo! Soroban School、わたしたちのミッションは、「1人でも多く幸せな子どもをふやす」こと。
こどもたちに接しているときも、それ以外の時間も、いつもこれを考えています。
でも、幸せって何だろう?
と思いませんか? 幸せになりたくないと思う人はいないはず。誰だって幸せなほうがいい。
「幸せ」というと抽象的であいまいでわからないかもしれないけれども、”Well-being”というと文字通りそのままだからかえってわかりやすいかもしれません。え?わかりにくい? Well=よい being=今の状態 直訳して良い状態って感じでしょうか。
幸せに関して色々調べて読んだりした中で、最近ズドン!と刺さった動画を紹介します。というか、動画を見て私が思ったこと、こどもたちとの関わりの中に生かしたいことを記事にしました。普段、こんなことを考えてこどもたちと接していますという内容が多めになってます。
企業人向けのセミナーですが、これはそのまま教育現場、家庭での子育てに直接通じる内容です。こどもも大人も同じです。
Globis経営大学院 FMセミナー「幸せと経営」
「人がよりよく生きる(Well-being)とは何か」を企業や大学と学際的研究を行う石川善樹氏と、日立製作所でハピネスの定量化を研究する矢野和男氏と共に、「幸せと経営」というテーマで、経営者・起業家の葛藤や従業員の幸せの課題にどう向き合っていくべきかを議論する
動画の前半部分(~22分)のみ、先に要点&感想、最後に動画を置いてます。
Well-beingによるポジティブな波及効果
様々な研究によりWell-beingが組織に波及的によい影響をおよぼすことがわかった。
健康⇧、生産性⇧、創造性⇧、離職率⇩
それは、そうですよね。精神的に良い状態⇒やる気、モチベーション高い⇒アイデアも湧いてくるなど普通に好循環になりそうです。
教室でも、子どもたちが今この瞬間よい気分か、楽しんでるかはめちゃくちゃ重要。
教室に来たら楽しい、ということが繰り返され、やがて、教室に向かっている間に楽しみで気分が高まる、よいパフォーマンスを発揮、という好循環につながってくのでは。
これは、ご家庭でももちろん同じ。家の中でハッピーでいることは何にもまして重要なことかなと思います。
Well-beingを高めるには次の3つが大事
- 1日の終え方 To Feel, 印象を振り返る ➡ 好評価
- 雑談 ➡ 笑い
- 信頼 ➡ 敬意をもって接される
企業のマネージャーの立場で、部下に最良のパフォーマンスを発揮してもらうには、幸福度の高い組織づくりが必要ということですね。では、どうやったら幸福度、Well-beingを高められるか、石川氏はこの3つだけでいいと解説します。
1 1日の終え方について
Well-beingは体験と評価からなる。
体験と評価は違う。最後の印象がすべて(評価)を決める。
1日の終わりに一番やっちゃいけないのは、ToDoの振り返り。ToDoを振り返るとできていないことにフォーカスがいき、ダメ評価になりやすい。
ToDoではなく、ToFeel、今日1日で何が印象に残ったかを振り返るのがよい。
印象を振り返るだけで自然と評価をよくしようとする力が無意識に働く。(テレサ・アマビール マネージャーの最も大切な仕事)
「評価」というのはちょっとわかりにくいかもしれません。要は、「今日はよかった」「今日は最悪だった」みたいな自分自身がどう感じるか。
終わりよければすべてよし。今日1日良い日だったな、と思えれば最高、そうでなくても今日はどんなだったか、印象を振り返ると自然と評価をプラスにもっていってくれると。
ちょっとちがうかもしれませんが、例えばそろばんの練習をするとき、自分のレベルと取り組む問題のレベルとの差に応じて、自分が一番心地よくトレーニングできる方法を考えて実行します。
検定試験と同じ形式でやろうとしたら、自分のできなさ加減をこれでもかと突きつけられて萎えるので。
だから小さく細かく分解して、自分のできるレベルにまで分解して練習。
やっぱりできないのは嫌だし、できたら気持ち良い。そして何よりそうして徐々にレベルを上げながら練習した方が絶対効率良い。
「気分よくできた~」と良い印象でその日の練習を終えると、「よし、次は少しハードル上げてみようかな」とやる気も湧いてきます。逆だとやる気減退。体育会系気質の人は逆に燃えるからストイックに行ったほうがいいのかも?!それにしても基礎に分解せずいきなり難しいのをそのままやっていたのでは効率はあまり上がらないはず。
振り返りも、ToDoだとできなかったことにひきずられますが、ToFeelなら、難しいから分解して基礎をやっていい感じだったとToDo未消化でもポジティブになれそう。
2 笑い
職場のポジティブ体験として日本のホワイトカラー1万人を調査してわかったもっとも重要な体験は、
- 笑った
- 敬意をもって接された
笑いは雑談から。雑談のある職場の方が生産性が高いことが研究結果でわかっている。
もう、これは言うまでもないですね。授業では、とにかくいかに笑いを起こすかに命かけてます(笑)
ただ、笑いはこどもたちの個性を引き出すものにしようと心がけています。テレビをぽかんと見て笑ってるお客さん状態ではなく、インタラクティブに、いつ仕掛けられるかわからない、逆にこどもたちから仕掛けてくるかもしれない、それに対しては最高のリアクションを返したい、そんな活発なコミュニケーションが起こるようにと。
参考になるのはやはりお笑い芸人。中でも明石家さんまさんは万人を笑わせる天才、本当にすごいですね。見ていると、しゃべりながらもよーくゲストを観察していて、つっこみどころ、ネタはないかと狙っています。見つけたらすかさずズドーンといって爆笑をとる。素人・プロ関係なく、ゲストのキャラを引き出して立たせる技術がすごい。つっこみどころが見当たらないときは自分でボケて、ネタがなくても笑いの渦を巻き起こす。
当然まったくレベルが違いますが、私もこどもたちをよーく観察して、それぞれのキャラを立たせるべくスポットを当ててます。要は「いじる」のですが、これは信頼関係がベースにないと危険。前職でもそれでクレームもらう先生結構いました。でも、それをおそれてこどもと距離を取るのではなく、あえてリスクをおかしてこどもとの距離を近づけるべく、いじります(笑)
もちろん、家庭でも組織でも応用できるかと思います。
いじるときは、
- ポジティブないじり ~ イケメンとか天才とか
- 関係性に応じた適切なアプローチ ~ もちろんこども1人1人対応は違います
また、こどもたちは意外と「常識」にしばられた思考に凝り固まっているところがあるので、わざとそれを真逆からぶち壊すことを言うと面白いですね。すごく反応がいいので、「常識を疑う」仕掛けをよくやります。Bingo!に来て、頭の柔らかさ、発想の柔軟性からクリティカル・シンキングの素地も磨いてもらえればうれしいです。
3 敬意をもって接されたか
「敬」、リスペクトというのは非常に美しい心の動きですね。ともだち、同僚、クラスメート。リスペクトしあえる仲間がいるというのは大きいですよね。
「上司と部下」「先生と生徒」「親子」という上下の関係になってしまう関係において、上の人が下の人に敬意をもって接することができているかということは決定的な要素と思います。
こどもと対等な立場で話をする大人でありたいと思います。なぜなら・・・
よい組織には〇〇の文化がある
ポール・ザック(神経経済学者)の研究からわかったこと~組織の文化と神経科学の組み合わせ
成果を上げる国/組織には、「〇〇」の文化がある。
さて、この〇〇、いったい何でしょうか?
ここはまた、めちゃくちゃ重要なところです。これがすべてのベースなのではないかと思うくらい。
さあ、〇〇、何でしょうか?
実はすでに答えが上に書いてありましたが・・・
正解は、「信頼」の文化
信用と信頼はちがう!
信用・・・お前ちゃんとやるのやらないの?やるなら信用する的な 相手を「理性的」に判断
信頼・・・成果をあげてもあげなくてもサポートし続けるよ。相手との「感情的」な結びつき。相互の関係。
信頼関係とは言うけれども信用関係とは言わない。
信用➡築くのが大変、崩れるのは一瞬
信頼➡最初から支えると決めているから崩れない。
信用と信頼の違い、なるほど~。重要ですね!
信頼、最重要キーワードです。私たち「先生」は、こどもを信頼するところからすべてが始まると思っています。この子はできる。能力がある。人間性も素晴らしい。すべての子に対してそう信じて疑わない。そうでない先生は、「この子はよいけどあの子はダメだ」と生徒を選びます。
バイオリンのスズキメソードの創始者、故鈴木鎮一先生は、私が尊敬してやまない素晴らしい教育者でしたが、まさにこどもたちを100%信頼していた先生でした。スズキメソードの合言葉、「どの子も育つ。育て方ひとつ」という言葉にもそれは表れています。
ところで「愛情」が大事と言う人も多いかと思いますが、私が「愛してるよ♡」なんて言ったら「キモイ!やめて~!」と喜ばれてしまいます・・・冗談で演技たっぷりによく言ってますが、こどもたちは大喜び。「キモい」の集中豪雨になります(笑)
ただまじめな話、「愛」はときに身勝手になりますよね。基本的に一方通行だからです。「これができたら」「言うこと聞いたら」みたいな条件付きのことがほとんど。無条件の愛は天然記念物ものと思ってよいかと。おまけに仏教では、「愛」は執着ですからむしろネガティブな意味合いを持ちます。
これに対して信頼は双方向。無条件。
じゃあ、「信頼」をつくるには?
イングランドの常勝サッカーチーム、マンチェスターユナイテッドのファーガソン監督はゴール、勝利の瞬間、真っ先に用具係を抱きしめる。
できた人だけをほめていくと信用の文化になってしまう。
信頼の文化をつくるには、縁の下の力持ちを称賛する。
できる子がほめられるというのはなかなか難しい意味合いを持ちます。
できない子もほめられる機会が非常に重要。つまり、どの子もほめられてスポットが当たる、輝くことが大事。
教室では、こどもたちの褒めネタ探しをいつもしています。これがいくらでもあるんです。
「〇〇、さすがいい姿勢だね~」とか、準備が早いとか、「〇〇がすごい集中してる!すごい!」とか、「ゴミ拾ってくれた」とか、「あいさつが素敵」とかいくらでもネタは尽きません。それをあえて他の子に聞こえるように、注目を浴びるように大きな声で全員に向かって言いふらします。わざと遠くから大きい声で言ったりも。
どの子もヒーローになれる。遠くからでも見てくれている。そういう安心と信頼のベースをしっかりと築くこと。建物でいう基礎、大きな木なら広く張った根。そこがどっしり安定しているから上に上に大きく伸びて広がっていけます。
信頼を生む3つのシゴト
- 仕事は順調か? 日々の仕事で学びや変化はありますか?
- 志事は順調か? あなたの人生は、前に向かっていますか?
- 私事は順調か? 自身、家族は幸せですか?
組織の場合は、上の人がまず自分を開示することが必要
こうしたことを聞きあって気にかけあうことが信頼を生む。
ちなみに聞く頻度は、1. 1週間に1度 2. 半年に1度 3. 毎日でもOK
もともとが企業、組織向けのセミナーですが、本当にそのまんま教室にも家庭にもあてはまります。こうしてまとめられると指針が非常に明快になりますね。
ちなみに先日、「オトナの寺子屋」と題されたセミナーで、Researching Plus GmbH創業社長の吉澤寿子氏のお話が非常に面白かったのですが、社会学的な観点から「家族は次世代を育てる機能の最小単位」というような表現が印象に残りました。家族も複数の人間から成り立っている「組織」と言えますよね。この3つ、家族の中でも時折確認しあうとよいかもしれません。
特に母親のみなさんにとって2. 志事 の充実度に関しては結構ストレスがかかっているのではないでしょうか。家族の場合には、2. を確認する頻度は半年ではたぶん長すぎますね。1か月か2か月ごとくらいがよいのかも。ちなみに2. の充実は3.の評価も高めるかと。1. は子育てから無限に学ぶことができますし、主夫をやってた知人は主婦業をいかに効率化して自分の時間を確保するか、その時間を自己投資(読書や勉強、趣味)にあてるために最大化することをゲーム化して自分の成長を楽しんでいました。
そろばん教室では、1に関して
- そろばんのレベルアップ、スモールステップで前に進むことが成長を感じやすくしている
- 授業でのこどもたちのエンゲージメントに変化をつける
先生役をやってもらったり
⇒これはすさまじくモチベーションアップにつながります。それこそに波及的に様々なポジティブ効果がてきめん。別途記事にしたいと思っています。
集中力のトレーニングと称して異なるゲーム的なアクティビティを入れたり
⇒カプラを使って難しい課題(遊び)に取り組む
⇒フラッシュ暗算ならぬフラッシュメモリー(8桁の数字を2秒見せて記憶する)
⇒後出しじゃんけんで負けるゲーム
本業のそろばんでも、そろばん、暗算、読み上げ算、読み上げ算、フラッシュそろばん、フラッシュ暗算など
テーマを投げて考えるような双方向のコミュニケーションを入れたり
テーマ例:
「頭がいい」って何?「幸せって何?」「いい先生ってどんな先生?」 ~抽象的、哲学的な問い
「〇〇くんがここがうまくいかないんだけどどうしたらいい?」~他者の問題解決
学びにはこと欠かないようにしていきたいですね。
2、3に関しては、将来の夢や、どんなことをがんばってるとか、今夢中なものとか、何か楽しいことがあったかとか、こどもたちによく聞いています。
多様なアプローチ、刺激とこどもたちののアウトプット、自己表現を促すことで、受け身で教わるのではなく、自ら感じる、学び取る場に、と思います。
おわりに
幸福度、Well-beingが仕事の成果に大きな影響を及ぼすのですから、Bingo!の理念はまさにビンゴ!(自画自賛)
素晴らしく勉強になる動画でした。今やYouTubeは最高の教育機関ですね。
インドでは最近、「幸福」が授業科目となりました。
ハッピーだと新しいことにチャレンジしやすくなるし、失敗を過剰におそれなくなりますよね。これは、今もこの先も「学び続け、成長し続けていく」こどもにもっとも必要なことではないでしょうか。
投稿者プロフィール
-
Bingo! Soroban School 責任者
そろばん教室でこどもたちと接するのが楽しくてたまりません。
自信を持って新しいことにどんどんチャレンジする子が一人でも多くなってほしいと願っています。
中学受験専門塾、中学高校受験塾の講師として15年あまりこどもたちに接したのち、紆余曲折を経て2013年ASOBO!、2016年そろばん教室を立ち上げる。2019年いしど式に加盟、全国珠算連盟認定教師。
最新記事一覧
- 教育・育児2024.07.30「わかる」と「できる」は全然ちがう!
- 教育・育児2024.07.25こどもに関わるすべての人に絶対知ってほしい! その3 「信は力なり」~山口良治先生
- 教育・育児2024.07.20こどもに関わるすべての人に絶対知ってほしい! その2 「どの子も育つ 育て方ひとつ」鈴木鎮一先生
- 教育・育児2024.07.20こどもに関わるすべての人に絶対知っててほしい! その1 深層心理学(ユング):河合隼雄先生