前回までは「基本の型」の重要性とその先について、「守破離」のお話をしてきました。
今回はそのつづきというか補足になります。
前の回を読んでない方はこちらをぜひお読みいただければ嬉しいです。

いしど式がすごいワケ〜基本の型
いしど式がすごいワケ(2)〜基本の型の先に

今回はちょっと話が大きくなりすぎ感もありますが・・・
しかし実際にそろばんの大会はその道を極めつつあるアスリートたちが鎬を削る、一般人には到底およびもつかないすごい世界です。

らせんのように繰り返す熟達のプロセス

「守破離」はそろばんの練習を通じて実は螺旋状に何周か身をもって体感することが可能だと思っています。
ただし、あくまで基本の型を忠実に練習して身につけた場合に限ります。

例えば、加減算だったら、入門時は1けたの計算でもえっちらおっちら。ところが基本の型の練習に励んでいくとやがて無意識に手が動くようになり、さらにそのスピードも上がっていきます。「守」から「破」の段階に入ってきました。

さらには暗算で頭の中で珠が動くようになっていきます。最初のうちはこれが難しいけれども慣れてくると2けたの加減算をすごい速さで暗算できるようになる。ここまでくるとそろばんを実際に動かして加減算となるともう簡単すぎて珠を動かす前に答えがわかってしまう。「離」の段階に入ってきた感じでしょうか。

ひと山超えるとその先にはさらに高い山々が

ここまでくると例えば珠算1級の見取り算、最大10桁の数を15個たしひきするのですが、これをそろばんを使わず暗算でやるようになります。そうするとなかなか答えが合わない。10問解いて1問も正解できないこともよくあります。ぐるっとひとまわり回ってレベルがぐっと上がった「守」の段階に入ったような感じでしょうか。

ここで淡々と練習を繰り返すうちに感覚が磨かれてだんだんと合うようになってきます。
確実性が増してきたらさらに上のステージへ。スピードを上げていきます。このときに当然ながらスピードを上げればミスも増えて正解率が下がります。あえて現状を壊してさらに高いレベルへ足を踏み入れる「破」の段階と思ったらよいでしょうか。

さらなる高みへ

スピードアップに終わりはありません。正確性を保って1.5倍のスピードでラクラクできるようになったら「離」の状態としたら、2倍のスピードを目指してまた高い次元の「守破離」へと。

ここまでくるともう常人には信じられない神業が当たり前の世界になっています。
集中力も感覚も極度に研ぎ澄まされていることでしょう。

他の学びへの応用

このようにものごとの上達、熟達の際に通るプロセスは基本的には誰にも共通するものです。
それをそろばんを通じて体験することで、ものごとに上達、熟達するために大事なことが「身に付く」はず。
それはのちのち何かを学ぶにおいても再現・応用可能できるはずと信じています。

そろばんはこの体験が比較的得られやすいというのも大きな魅力です。

投稿者プロフィール

のぶ先生
のぶ先生
Bingo! Soroban School 責任者
そろばん教室でこどもたちと接するのが楽しくてたまりません。
自信を持って新しいことにどんどんチャレンジする子が一人でも多くなってほしいと願っています。
中学受験専門塾、中学高校受験塾の講師として15年あまりこどもたちに接したのち、紆余曲折を経て2013年ASOBO!、2016年そろばん教室を立ち上げる。2019年いしど式に加盟、全国珠算連盟認定教師。